公演詳細

未分類

玉林院公演の詳細情報です。

大徳寺塔頭 玉林院

創建400年を誇る玉林院(ぎょくりんいん)は、京都府京都市北区紫野にある臨済宗大本山大徳寺塔頭であり、通常拝観謝絶。寛保2年(1742年)、大坂の豪商・鴻池了瑛(4代目鴻池善右衛門)が、先祖とされる山中鹿之助の位牌堂として南明庵を建立するとともに、蓑庵・霞床席が造営されました。

  • 本堂(附 玄関) は元和7年(1621年)に建立された一重入母屋造、桟瓦葺の建物で、大徳寺塔頭の本堂中では最も規模が大きい。本堂室内の襖には狩野探幽ら狩野一門の絵師による70面の水墨画が描かれています。
  • 南明庵 – 鴻池了瑛が寛保2年(1742年)に先祖である山中鹿之介を祀るために建てたもので、鹿之介の位牌が安置されています。楽長入作の赤楽の敷瓦が基壇にはめ込んであります。
  • 茶室
    • 蓑庵(さあん) – 表千家7世・如心斎宗左の好み。中潜り・腰掛・雪隠などのある露地を伴う三畳中板台目切りの茶室。中柱には赤松の曲り柱を用い、周りはすさ壁をめぐらせており、このすさ壁の技術は現代では完全には再現できないもの。
    • 霞床席(かすみどこせき) – 四畳半の茶室。床の間の中央に違い棚が設けられています。この違い棚は奥の壁からやや離して設けられ、壁に富士山の絵の掛け軸を掛け、違い棚を富士にかかる霞に見立てる趣向で、霞床席もこれに由来します。
    • 洞雲庵桑山宗仙千利休の息子・道安の門人、片桐石州の師)の建立したものを、昭和19年(1944年)に19世である泰堂和尚が表千家即中斎宗匠の好みで再建したもの。
  • 絹本著色釈迦如来

(以上はいずれも重要文化財)

作品について

本企画は古典文学をテーマに作曲活動を展開する次郎丸智希氏による新作モノオペラ

《源氏物語 光のおと いのちの弦音》壱 初演でございます。

女流文学の金字塔、日本が世界に誇る紫式部の《源氏物語》原文をテキストとし、作品の世界観を忠実に再現すべく繊細な音景色が歌とチェロ、チェンバロによって玉林院本堂に描き出されるモノオペラの第一作目となります。2029年の全編完成までの構想がいよいよ動き始めました。

《源氏物語》は京都を舞台とし、光源氏の華やかな恋模様と複雑な人間関係が繊細に描かれ、やまとのこころと文化を伝えるとともに今をいきる人々に常に示唆を与え、多くの人々の心をとらえて離しません。本シリーズは三部作構成で、第一部は『桐壺』、第二部は光源氏・遍歴の時代、第三部は彼岸へと思い寄せる晩年の源氏を描きます。まさに人生のはじまり、青春を経て世と交わり、やがて旅の終わりを迎えるまでを『源氏物語』を通じて体感するチクルスとなる予定です。今回は第一部『桐壺』の章です。帝からの思わぬ過剰なご寵愛を受け、過酷な環境に陥った桐壺、混沌とした中でお生まれになった目も麗しい御子は、まさに希望の光、「光源氏」でありました。「闇の中に生まれた光」が今回のテーマです。

物語の生まれた他ならぬ京都で、音に紡がれる源氏の物語を味わう、ひとときの旅――、演奏は、ソプラノ・麗、チェロ・福富祥子、作曲家自身によるチェンバロ・解説でお送りします。

本作では、山之内厳俊氏作、檜製の漆蒔きチェンバロも楽曲に彩を添えます。アンサンブルが玉林院建材でもある檜と一体となり、和洋を結び合わせた造形が神聖なる本堂の空間に溶け合い、共鳴する響きの美しさも聴きどころです。

《源氏物語》のみならず、次郎丸智希が作中に忍ばせた紫式部の百人一首《めぐりあひて》による楽曲もまた、式部の生きた世界観や人物像をより深く描き出します。紫式部のファンならずとも日本文学・文化・歴史を継承し愛するすべての方々にお聴きいただきたい作品です。

また、本公演のため、Sachi Takagi/RAUのご協力により、おもたせに特誂え謹製菓子をご用意いたします。光源氏になぞらえた唯一無二のデセールをお召し上がりいただき、公演後もさらに豊かに五感で音楽をご堪能くださいませ。京都を拠点にパリへも出店し、お菓子を通じて世界に日本の伝統を広めるSachi Takagi/RAUは、こだわり抜かれた素材と美意識から極上のデセールを生み出しつづけています。「気高く美しい」という意味を持つ日本の古語「らうらうし」から名づけられたRAUは、日本語らしい奥行きのある柔らかな響きとともに
世界中のお客さまにもなじみやすいニュアンスを持ち合わせ、当企画の古きを温め世界へ新しく発信するポリシーと深く重なっております。和の世界を気高く具現したみやびやかなお菓子をお供に、静謐な空間で特別な機会をご堪能いただける企画となっております。

本公演前、指定のお時間にお集まりいただきました方々へ特別に南明庵・簑庵の拝観をお許しいただけることとなりました。式部ゆかりの地。平安貴族たちの衣擦れの音が聞こえるかのような、当時と変わらぬ回廊をお巡りいただき、絢爛たる平安絵巻を彷彿とさせる珠玉が響く一期一会をどうぞご堪能くださいませ。

~作曲者メッセージ~

圧倒的筆致で描かれる光る君の遍歴・・・これまでに多くの舞台化、映像化がなされていますが、本作では、紫式部が筆はしらせた原文、その言葉そのものを音楽化することにこだわり、そこから立ち現れる人間ドラマを描きたいと考えています。声と弦が源氏の魂に触れて震える。その波動は、時をこえて語られる、紫式部の物語への熱い衝動です。深く静かに熱く燃える言葉の光を、わたしは音でつまびらかにしていきたいのです。  次郎丸智希

次郎丸智希 作曲家・ピアニスト・朗読家。福岡県出身。大阪大学文学部卒(音楽学)、同大学院修了(ドイツ文学)、神戸大学大学院人間発達環境学研究科・博士課程修了(人間表現専攻)博士(学術)。第17回万葉の歌音楽祭・大賞、第28回TIAA全日本作曲家コンクール(重唱・合唱の部)第1位受賞。文学と音楽両面からアプローチする独自の作風で多くの作品を発表。現在、フェリス女学院大学・グローバル教養学部・文化表現学科・音楽身体表現専攻・准教授、お茶の水女子大学、放送大学各講師。主な作品に、独唱・重唱・合唱のための《百人一首によるうた》《万葉名歌集》、カンタータ《まかる空~竹取物語より~》、ピアノ4手連弾のための《MUSEUM》他多数。研究論文『武満徹作品における音楽語法の変遷―SEAモティーフを中心に―』、『武満徹作品における引用~《夢の引用―Say sea, take me!―》を中心に~』『歌曲の実践と文芸』『武満徹の音楽語法「SEAモティーフ」の萌芽と生成 ~《鳥は星形の庭に降りる(1977)》と《遠い呼び声の彼方へ!(1980)》の比較を通して~』

プログラム


『いずれの御時にか』(桐壺帝の寵愛)
光源氏の誕生 チェロ独奏
光る君 チェロ独奏
『めぐりあひて』